ダークチョコアイス

ある昼下がり、おばあちゃんがおもむろに100kn(1700円くらい)札を出して、これでアイスでも食べなねってわたしの手の中に押し込んだときは親不孝(ばあ不孝)者だって肩身狭くていたたまれなくて、だってこのお札はおばあちゃんが毎日毎日少しずつ作ってたレース編みを売ったお金か少ない年金か、どっちにしても重い額で。どういう顔をしてお札を拒むことを諦めたのかわからないけど、握りしめるようにしてクローゼットにしまってた。

 

---

 

島を歩いてたら濃厚さが伝わる色のチョコアイスを持ってる人を見て、これはいつか食べなきゃと思って、でも自分が自由に使えるお金はないのでいつかのいつかにとっておいてたのをふと思い出した。お金を大事に手元に置いててもなにも生まないなと思い直してから、クローゼットのお金を財布に入れてアイスを食べにいくまでは早かった。

 

日本じゃ見ない味の並ぶカラフルなショーウインドウも、狭い店内で列をつくってる観光客達も、アイスを受け取って待ちきれずにその場でひとくち食べちゃった人も、わたしのいよいよをお膳立てしてワクワクした。

 

お目当のチョコアイスは1番左の端にあって、あのときの色で間違いなかった。他のアイスより50円高い200円、よいよい、今日の特別感を醸してる。35円のワッフルコーンを見向きもしないでカップにお願いすると、店員さんは黒々としたアイスを奥からがしがし掘って、たくさん乗せてくれた。写真を撮ってるうちに潮風を浴びて表面がすぐに溶けた。

 

f:id:pageyaro:20170706165133j:image

 

色から想像できる期待を裏切らない濃さは口の中に鼻血が広がってるようで(というとおいしさが半減するけど)、そこに水やコーンが入る余地はなかった。小さい見た目の割にぎゅっとつまってたから大満足、いっぱいいっぱい。

 

家に帰っておばあちゃんにアイスまみれの口でアイスおいしかった〜って言うと、しわくちゃの手でわたしの手を握ってめちゃくちゃ喜んでくれた。